遺言書作成⑨(遺留分について)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今までのお話の中で何度か遺留分という言葉が出てきました。では、この遺留分とはなんでしょうか。この遺留分について今回はお話ししていきます。

 

 遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない相続財産の一定割合をいいます。つまり、遺留分とは、遺言によって侵すことのできない相続人固有の権利だということです。ただし、ここでの相続人には、兄弟姉妹は含まれません。兄弟姉妹には、遺留分がないのです。すなわち、遺留分権利者は、配偶者、子およびその代襲者(孫、曾孫など)、直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母など)までが対象となります。

 

 では、どれだけの割合で遺産の中で遺留分が認められているのでしょうか。直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母など)のみが相続人である場合、遺言者の財産の3分の1が認められています。その他の場合には、遺言者の財産の2分の1です。遺留分権利者が複数いるときは、全体の遺留分の率に、それぞれの遺留分権利者の法定相続分の率を乗じたものが、その者の遺留分となります。

 

 法定相続分の率については、以下のようになります。①配偶者と子およびその代襲者とが相続人になる場合、配偶者が2分の1、子および代襲者が2分の1を人数分で割る割合です。②配偶者と直系尊属とが相続人になる場合、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1を人数で割る割合となります。

 

 よって、遺留分を計算すると、例えば、配偶者と子3人が相続人となる場合には、配偶者の遺留分の率は、1/2×1/2=1/4となり、子の遺留分は、それぞれ、1/2×1/2×1/3=1/12となります。

 

 この遺留分が侵害される相続人の財産を遺言・生前贈与された場合、侵害された分の遺留分を請求することのできる権利を遺留分減殺請求権といいます。この遺留分減殺請求権は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内にしなければ、消滅します。つまり、その1年以内なら遺留分の減殺請求がされる可能性があるということです。また、知る知らないに関わらず、相続の開始のときから10年を経過したときも、この権利は消滅します。

 

 以上のことを加味して遺言を書くことをお勧めします。では、遺留分権利者に対しては必ず遺留分までは相続させるように計算して遺言を書かなければならないかというと、そうではありません。まったく相続財産を当てないというと感情的に反発される可能性がありますが、遺留分までいかなくともわずかでも財産を割り当てて、遺留分を遺言者が生きているうちに放棄してもらうよう話し合っておくというのも一つの手です。相続放棄と違って、遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要となりますが相続開始前であってもすることができます。(相続開始後であれば許可は不要。相続放棄は、相続開始後にしかできず、家庭裁判所に申述しなければならない。)

 

 せっかく遺言を書くのですから、遺言者の死後、不要な争いに(さらには遺言が原因で争いに)ならないようにするための内容にすることがよいでしょう。これまでお話ししてきたように形式や内容についてそれぞれにおいては難しいと思わない方もおられるかもしれませんが、思い通りに遺言を書こうと思うと色々と考慮しなければならないことが増えていくかもしれません。一人で遺言を書くのが不安だという方は、弊所を含めぜひ専門家にご相談ください。考えの道筋や文章作成のお手伝いができると思います。ご自身の最後の思いを伝える手段としての遺言書、満足のいくものを完成されることを願っています。

 

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